検索ボリュームは市場分析の参考になりますが、数字だけで商品開発を判断するのは危険です。地域産品では、検索数の多さよりも、誰がどんな理由で探しているかを見ることが大切です。
地域産品の商品開発で市場を考えるとき、検索ボリュームは役に立ちます。どんな言葉が検索されているのか、どれくらいの人が関心を持っているのか、季節によって需要が変わるのか、競合が多い市場なのか。こうしたことを知る手がかりになるからです。
けれど、検索ボリュームは万能ではありません。数字が大きいから売れる、数字が小さいから売れない。そう単純に考えると、商品開発の判断を間違えることがあります。特に地域産品の場合、検索ボリュームの読み方には少し注意が必要です。
検索ボリュームは、需要そのものではない
まず大切なのは、検索ボリュームは需要そのものではない、ということです。検索ボリュームは、ある言葉がどれくらい検索されているかを示す数字です。つまり、生活者がその言葉にどれくらい関心を持っているかを知る手がかりになります。けれど、それはそのまま購買数ではありません。
検索している人の中には、ただ調べているだけの人もいます。比較している人、買う気がある人、情報収集の段階の人もいます。だから、検索ボリュームが大きいからといって、必ず売れるとは限りません。反対に、検索ボリュームが小さくても、買う気持ちが強い市場もあります。見るべきなのは、数字の大きさだけではなく、その検索の背景です。
大きすぎる市場は、勝ちにくいことがある
検索ボリュームが大きい言葉は、魅力的に見えます。商品開発、ギフト、手土産、お菓子、EC改善。こうした言葉は、多くの人が検索しています。けれど、検索数が多い市場は、競合も多いことがほとんどです。大手ECサイト、大手メディア、SEOに強い企業サイト、広告を出している企業。すでに強い競合が並んでいる市場では、立ち上げたばかりの商品や小さな事業者がすぐに見つけてもらうのは簡単ではありません。
地域産品の商品開発では、大きな市場をそのまま狙うのではなく、もう少し具体的に絞ることが大切です。「ギフト」では広すぎる。「地域産品 ギフト化」なら少し具体的になる。「お酒好き 手土産 地域産品」なら、さらに使う場面が見えてくる。検索ボリュームは大きくなくても、商品との相性がよい市場を見つけることが重要です。
小さな検索ボリュームにも意味がある
地域産品では、検索ボリュームが小さい言葉にも意味があります。たとえば「地域産品 商品開発」「地域産品 EC改善」「地域産品 ギフト化」「地域価値 言語化」。こうした言葉は、検索数だけを見れば大きくないかもしれません。けれど、その言葉で検索する人は、すでに課題を持っている可能性があります。
何かを改善したい、商品を作り直したい、ギフトとして売りたい、ECで伝え方を見直したい。そういう人が検索しているなら、検索ボリュームが小さくても価値があります。検索数が多い言葉は入口として魅力があり、検索数が小さくても相談や問い合わせに近い言葉もあります。地域産品の商品開発では、この両方を見分ける必要があります。
数字よりも、検索意図を見る
検索ボリュームを見るときに大切なのは、検索意図です。その人は、何を知りたくて検索しているのか。何に困っているのか。どんな判断をしようとしているのか。
たとえば「商品開発 流れ」と検索する人は、進め方を知りたい人かもしれません。「EC 売れない」と検索する人は、すでに困っている人かもしれません。「地域産品 ギフト化」と検索する人は、自分たちの商品を贈りものとして整えたい人かもしれません。検索ボリュームが同じでも、検索意図が違えば、記事の役割は変わります。
多くの人に読まれる記事なのか、深く困っている人に届く記事なのか、相談につながる記事なのか、商品開発の入口になる記事なのか。検索意図を見ることで、どんな記事を書くべきかも見えてきます。
地域名の検索ボリュームは慎重に見る
地域産品では、地域名の検索ボリュームも気になります。地域名がどれくらい検索されているか、特産品名がどれくらい検索されているか、観光地としての認知があるか。こうした情報は参考になります。ただし、地域名の検索ボリュームをそのまま商品需要と考えるのは危険です。
地域名で検索する人は、観光情報を探しているかもしれません。移住情報を探している、ニュースを見ているだけ、ということもあります。特産品を買いたい人とは限りません。地域名は、商品の背景としては強い価値になります。けれど、検索の入口としては、用途や場面の方が強いことも多い。
だから、地域名の検索数を見るときは、その地域名で何を探している人なのか、商品購入につながる検索なのか、用途やギフト需要と接続できるのかを、合わせて考える必要があります。
季節性を見ると、売る時期が見えてくる
検索ボリュームで見るべきもののひとつが、季節性です。地域産品やギフト商品は、年間を通じて同じように売れるとは限りません。母の日、父の日、お中元、お歳暮、年末年始、送別、内祝い、帰省。季節や行事によって、需要が高まるタイミングがあります。
検索ボリュームを見るときは、単月の数字だけでなく、年間の動きも見ることが大切です。ある言葉が一年中検索されているのか、特定の月だけ伸びるのか、毎年同じ時期に山があるのか、一時的な流行なのか。ここが分かると、商品開発だけでなく、販売計画にもつながります。
いつ商品ページを整えるべきか、いつ撮影するべきか、いつ特集を出すべきか、いつ在庫を準備するべきか。検索ボリュームは、商品を作るためだけでなく、売る時期を考える手がかりにもなります。
検索されていないから価値がない、ではない
地域産品では、検索されていない価値もあります。まだ知られていない素材、地域の中では当たり前だけれど外の人には新鮮な食べ方、言葉になっていない魅力、検索データに現れない文化や技術。こうしたものは、検索データだけでは見つけにくい。だから、検索されていないから価値がない、とは言えません。むしろ、地域産品の面白さは、まだ言葉になっていない価値にあることも多いです。
ただし、その価値を届けるには、生活者がすでに使っている言葉と接続する必要があります。検索されていない価値を、検索されている用途や場面につなぐ。たとえば、知られていない地域素材を母の日ギフトに接続する。伝統的な食品を、お酒好きへの手土産に接続する。地元で親しまれてきた味を、職場で配りやすい個包装ギフトに接続する。
このように考えると、検索データと地域価値は対立しません。検索データは、地域の価値を届ける入口を探すための道具になります。
検索ボリュームは、判断材料のひとつである
検索ボリュームは便利です。けれど、それだけで商品開発を決めるものではありません。実際には、いくつかの視点を合わせて見る必要があります。検索されているか、検索している人の意図は何か、競合は強すぎないか、商品との相性はあるか、季節需要はあるか、価格に見合う市場か、販路で売れる可能性があるか、利益が残る設計にできるか。
検索ボリュームは、この中のひとつです。数字があると安心します。けれど、数字に寄りかかりすぎると、本来見るべき生活者や商品価値を見落とすことがあります。大切なのは、数字を見ることではなく、数字をどう読むかです。
地域産品では、少し小さな市場を深く見る
地域産品の商品開発では、最初から大きな市場を狙いすぎない方がよいことがあります。大きな市場は競合が多く、広告費や認知の差も出やすい。一方で、少し小さくても、商品との相性がよい市場なら、選ばれる可能性があります。
たとえば「母の日ギフト」だけで考えると広すぎます。けれど、「母の日に贈る甘すぎない地域スイーツ」「お酒好きの父に贈る地域のおつまみ」「職場で配りやすい個包装の地域菓子」というように絞ると、商品設計や伝え方が具体的になります。検索ボリュームが大きい市場を狙うのではなく、商品が選ばれる理由を作れる市場を探す。これが、地域産品の市場分析では大切です。
おわりに
検索ボリュームは、地域産品の商品開発に役立つ指標です。けれど、数字だけで判断するものではありません。検索数が多いから売れるわけではない。検索数が少ないから価値がないわけでもない。大切なのは、その言葉で検索している人が、何を求めているのかを見ることです。
誰が、どんな場面で、どんな理由で、その商品を探しているのか。検索ボリュームは、その入口を見つけるための手がかりです。地域の価値を、生活者が選びやすい市場と言葉に接続する。そのために、検索データを使う。それが、地域産品の商品開発における市場分析の基本だと考えています。
▼地域産品の商品開発を市場・設計・伝え方・数字の4つの視点で整理する全体像は、売れるは設計できるとは何かで解説しています。
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