売れているのに儲からない理由|地域産品の利益設計

商品開発

地域産品は、売れているように見えても利益が残っていないことがあります。原価、価格、販売数、初期投資を整理して、事業として続けられる形を考えることが大切です。

商品が売れるのは、もちろん大切なことです。店頭で手に取られる、ECで注文が入る、催事で反応がある、ギフトとして選ばれる。こうした動きがあると、商品開発はうまくいっているように見えます。

けれど実務でよく起きるのが、売れているのに儲からない、という状態です。売上はある。注文もある。お客さまの反応も悪くない。それでも、手元に利益が残らない。これは地域産品の商品開発やEC販売で、とても大事な課題です。

地域ギフト研究所では、「売れるは設計できる」の最後のステップとして、数字を確認することを大切にしています。良い商品を作り、選ばれる形に整え、そのうえで事業として続けられるかを見る。ここまで含めて商品開発だと考えています。

目次

売上と利益は違う

まず整理したいのは、売上と利益は違うということです。売上は商品が売れた金額、利益はそこから原価や手数料、送料、包装費などを引いたあとに残る金額です。

たとえば3,000円の商品が売れたとします。一見すると3,000円の売上ですが、そこから原材料費、箱代、ラベル代、包材費、送料、決済手数料、販売手数料、人件費、撮影費やデザイン費などがかかります。それらを引いたあとに、どれだけ残るのか。ここを見ないと、商品が本当に事業として成立しているかは分かりません。

売れていることと、儲かっていることは、同じではありません。

儲からない理由1|価格を低く設定しすぎている

地域産品でよくあるのが、価格を低く設定しすぎているケースです。高くすると売れないのではないか、地域の商品だからあまり高くできないのではないか、お客さまに申し訳ないのではないか。そう考えて、価格を控えめにしてしまうことがあります。

価格に納得感は必要ですが、安くすれば売れるとは限りません。むしろ価格が低すぎると、商品の価値が伝わりにくくなることもあります。特にギフトでは、価格は単なる安さではなく、贈りものとしての印象にも関わります。

大切なのは、安くすることではなく、価格に見合う価値を設計すること。そして、その価格で利益が残るかを確認することです。

儲からない理由2|包材やギフト対応のコストを見落としている

地域産品をギフト化するとき、見落とされやすいのが包材のコストです。箱、包装紙、のし、リボン、メッセージカード、緩衝材、配送用の外箱。ギフトとして整えるほど、必要な資材は増えていきます。

ひとつひとつは小さな金額に見えても、積み重なると利益を圧迫します。商品そのものの原価は問題なくても、ギフト箱や配送資材を足した瞬間に、利益がほとんど残らなくなることもあります。

ギフト化は単価を上げる可能性がある一方で、コストも増えます。だからこそ、いくら高く売れるのか、追加コストはいくらかかるのか、差し引きで利益は増えるのか。この3つを必ず確認しておきたいところです。

儲からない理由3|販売手数料を見ていない

ECやモール、委託販売では、販売手数料がかかることがあります。自社EC、ECモール、百貨店、セレクトショップ、道の駅、催事、卸販売。販路によって、手元に残る金額は変わります。

同じ3,000円の商品でも、自社で直接売るのか、卸で売るのか、委託で売るのかによって、利益は大きく変わります。売価だけを見ていると、利益の見込みを間違えます。どの販路で売るのか、その販路では手数料や掛け率がどれくらいか、送料は誰が負担するのか、返品や在庫リスクは誰が持つのか。ここまで含めて考える必要があります。

販路が変われば、利益設計も変わります。

初期投資と販売数も、利益を左右する

ここまでは1個あたりの利益が削られる原因を見てきましたが、利益はそれだけで決まりません。商品開発には、パッケージデザインや箱の制作、撮影、商品ページ制作、試作、資材の発注といった初期投資がかかります。これは商品が売れる前に発生する費用で、売れ始めても回収できていなければ、事業としてはまだ黒字とは言えません。

また、1個あたりの利益が出ていても、販売数が少なければ事業としては成立しにくく、逆に見込みすぎれば在庫や資材を抱えるリスクが増えます。つまり、利益は「1個あたりいくら残るか」と「何個売れるか」の掛け算で決まります。

▼何個売れれば初期投資を回収でき、事業として成立するのか。その逆算の考え方は、地域産品は何個売れれば成立するのかで詳しく解説しています。

利益設計で見るべき基本の数字

難しい事業計画を最初から作る必要はありません。まずは、売価、原価、包材費、送料、販売手数料、1個あたりの利益、初期投資、月間販売数、月間利益、黒字化までの期間。この数字を見るだけでも十分です。

これが見えるだけで、価格を上げるべきか、箱の仕様を見直すべきか、ギフトセットにするべきか、販売チャネルを変えるべきか、まとめ売りにするべきか。こうした判断が、感覚ではなく数字でできるようになります。

数字は、挑戦を止めるためのものではない

数字を見るというと、少し冷たい印象があるかもしれません。でも数字は、挑戦を止めるためのものではなく、続けるためのものです。良い商品を一度だけ売って終わらせない。作り手が無理をしすぎない。適正な価格で、適正な利益を残す。継続して届けられる形にする。そのために数字があります。

地域産品の商品開発では、想いや品質が大切です。だからこそ、その想いや品質が続く形をつくらなければなりません。利益が残らない商品は長く続けるのが難しく、続けられない商品は、結果的にお客さまにも届きにくくなります。

おわりに

売れているのに儲からない。その理由は、商品が悪いからとは限りません。価格が低すぎる、包材費を見落としている、販売手数料を考えていない、初期投資を回収できていない、販売数の見込みが甘い。こうした数字の設計が曖昧なまま進んでいることがあります。

地域産品の商品開発では、良い商品を作るだけでなく、事業として続けられる形に整えることが大切です。売上ではなく、利益を見る。感覚ではなく、数字で確認する。それが、地域の価値を長く届けるための土台になります。

▼地域産品の商品開発を市場・設計・伝え方・数字の4つの視点で整理する全体像は、売れるは設計できるとは何かで解説しています。

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この記事は「売れるは設計できる」の第4ステップ、数字に関連しています。

この記事を書いた人

大手百貨店で商品開発・売場編集・新規事業に携わる実務者。デジタルマーケティング・Webマーケティング・AI活用・商品写真を個人として専門的に学び、地域産品を「全国で選ばれる商品」へ翻訳する独自メソッド「売れるは設計できる」を体系化。和歌山県推奨品制度 副審査委員長、国際唎酒師、食の6次産業化プロデューサー。

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