バイヤーは商品を見るときに何を見ているのか

商品を見るとき、まず気になるのは「良い商品かどうか」です。

味がいいか。 素材にこだわっているか。 作り手の姿勢があるか。 見た目に清潔感があるか。

品質はもちろん大切です。

けれど、バイヤーの視点で商品を見るとき、それだけでは判断しません。

良い商品であることと、売場で選ばれることは、少し違います。

どれだけ丁寧に作られた商品でも、誰に向けたものなのか、どんな場面で選ばれるのか、価格に納得できる理由があるのかが見えなければ、売場では伝わりにくくなります。

商品を見るということは、商品そのものを見ることでもあり、その先にいるお客さまの選び方を見ることでもあります。

目次

まず見るのは、誰に向けた商品か

商品を見るときに、最初に考えるのは「これは誰に向けた商品なのか」です。

自宅用なのか。 手土産なのか。 目上の方への贈りものなのか。 家族で楽しむものなのか。 法人のご挨拶に使えるものなのか。

同じ商品でも、誰に向けるかによって、必要な見せ方は変わります。

たとえば、気軽な自宅用であれば、親しみやすさや分かりやすさが大切になります。一方で、贈りものとして選ばれるなら、きちんと感や包装、価格の見え方も重要になります。

商品そのものが良くても、誰に向けたものかが曖昧だと、売場では置き場所が決まりにくくなります。置き場所が決まりにくい商品は、お客さまにも伝わりにくい。

だから、まず見るのはターゲットです。

次に見るのは、選ばれる場面があるか

商品には、選ばれる場面があります。

朝食に使うもの。 週末に楽しむもの。 お酒と合わせるもの。 お礼に渡すもの。 季節のご挨拶に使うもの。

大切なのは、その商品がどんな場面で選ばれるのかが見えることです。

地域産品の場合、「地域で作られている」という背景は強みになります。けれど、それだけでは生活者の選ぶ場面に接続しにくいことがあります。

お客さまは、商品を見ながら無意識に考えています。

これは誰に渡せるだろう。 どんな時に使えるだろう。 自分の暮らしに合うだろうか。 価格に見合うだろうか。

この問いに答えられる商品は、売場でもECでも選ばれやすくなります。

商品の良さが、一瞬で伝わるか

売場でもECでも、商品は一瞬で判断されます。

お客さまは、すべての商品をじっくり読んでくれるわけではありません。最初に目に入るのは、形、色、サイズ、パッケージ、商品名です。

そこで何の商品かが分からないと、手に取られにくい。誰に向けたものかが分からないと、候補に入りにくい。価格に見合う印象が伝わらないと、比較で負けやすい。

だから、商品を見るときは「説明しなくても伝わるか」を見ます。これは商品の中身とは別の視点ですが、選ばれるためにはとても重要です。

棚やECで一瞬で伝わる商品と伝わらない商品の違いは、商品棚で一瞬で伝わる商品と、伝わらない商品の違い で詳しく解説しています。

価格に納得できる理由があるか

価格も大切です。

安ければいい、という話ではありません。むしろ地域産品やギフトでは、安さだけで選ばれると苦しくなることがあります。

見るべきなのは、価格に納得できる理由があるかです。

素材。 製法。 量。 包装。 見た目。 用途。 贈ったときの印象。

これらが価格と合っているかを見ます。

たとえば、同じ3,000円の商品でも、自宅用に見えるのか、贈りものに見えるのかで受け止め方は変わります。

価格は数字ですが、生活者は数字だけを見ているわけではありません。その価格を払う理由があるかを見ています。

継続して売れる形になっているか

もうひとつ見るのは、継続性です。

一度話題になる商品と、長く売れる商品は違います。

もちろん、話題性も大切です。けれど、商品開発や地域産品の支援で大切なのは、継続して選ばれる形になっているかです。

季節ごとに売れるのか。 リピートされるのか。 ギフト需要に乗るのか。 追加生産できるのか。 品質を安定して保てるのか。 利益が残るのか。

商品を見るときは、売れる瞬間だけでなく、続けられるかも見ています。

売れても利益が残らなければ続きません。売れても供給が安定しなければ、売場には置きにくい。良い商品を長く届けるには、数字と体制も必要になります。

良い商品を、選ばれる商品にするために

百貨店バイヤーの視点で商品を見るとき、見ているのは商品そのものだけではありません。

誰に向けた商品か。 どんな場面で選ばれるか。 一瞬で価値が伝わるか。 価格に納得できる理由があるか。 継続して売れる形になっているか。

こうしたことを重ねて見ています。

これは、地域ギフト研究所でいう「売れるは設計できる」という考え方にもつながります。

良い商品を作ること。 市場を確認すること。 選ばれる理由を設計すること。 伝え方を整えること。 数字で成立性を見ること。

その積み重ねによって、商品は少しずつ「選ばれる形」に近づいていきます。

おわりに

百貨店バイヤーは、商品を見るときに品質だけを見ているわけではありません。

その商品が、誰に、どんな場面で、どんな理由で選ばれるのかを見ています。

地域産品には、すでに価値があるものがたくさんあります。大切なのは、その価値を変えることではありません。生活者が選びやすい形に整えることです。

地域の価値を、選ばれる形に翻訳する。その視点を持つことで、良い商品は、売場やECで選ばれる商品へ近づいていきます。

▼ECで売れない原因の全体像は、ECで売れない地域産品に共通する3つの課題 で解説しています。

関連ページ

この記事は「売れるは設計できる」の考え方全体に関連しています。

この記事を書いた人

大手百貨店で商品開発・売場編集・新規事業に携わる実務者。デジタルマーケティング・Webマーケティング・AI活用・商品写真を個人として専門的に学び、地域産品を「全国で選ばれる商品」へ翻訳する独自メソッド「売れるは設計できる」を体系化。和歌山県推奨品制度 副審査委員長、国際唎酒師、食の6次産業化プロデューサー。

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