ECで売れない地域産品に共通する3つの課題と改善点

地域産品がECで売れない理由は、商品の品質だけではありません。写真、商品説明、導線を見直すことで、選ばれる確率は高められます。

地域産品のEC販売では、よくこういう声を聞きます。商品には自信がある。味もいい。素材にもこだわっている。作り手の想いもある。けれど、ECでは思うように売れない。これは珍しいことではなく、地域産品のEC改善では、とてもよく起きる課題です。

大切なのは、「商品が悪い」とすぐに考えないことです。ECで売れない理由は、商品の品質そのものではなく、伝わり方にあることが多いからです。地域ギフト研究所では、ECで売れない地域産品には、大きく3つの課題があると考えています。写真、商品説明、導線。この3つです。

目次

課題1|写真で価値が伝わっていない

ECでは、最初に読まれるのは文章ではありません。写真です。スマートフォンで商品を見るとき、多くの人は数秒で判断しています。その数秒で、何の商品か、どんな大きさか、どんな場面で使うのか、誰に贈るとよさそうか、価格に見合う価値がありそうか。こうしたことを無意識に見ています。

地域産品でよくあるのは、商品そのものは良いのに、写真で価値が伝わっていないケースです。箱だけが写っている、中身が分からない、サイズ感が分からない、食べる場面が想像できない、ギフトとしての印象が伝わらない。これでは、生活者は選びにくくなります。商品を知らない人にとって、写真は最初の接客です。写真で伝えるべきなのは、単なる見た目ではなく、商品の価値です。

商品写真で確認したいこと

ECの商品写真では、最低限、次のことが伝わる必要があります。

  • 何の商品か
  • 中身はどうなっているか
  • サイズはどれくらいか
  • どんな場面で使うのか
  • 贈りものとしてどう見えるのか

特にギフトの場合、外箱や包装だけでなく、開けたときの印象も大切です。贈られた人が箱を開けた瞬間に、どう感じるか。その想像ができる写真になっているか。ここが見えないと、ギフトとしては選ばれにくくなります。

▼ECで何をどう撮るべきかは、地域産品のEC写真は何を撮るべきかで詳しく解説しています。

課題2|商品説明が「良さ」の説明で止まっている

ECで売れない地域産品に多いもう一つの課題は、商品説明です。よくあるのは、おいしい、こだわりの素材、丁寧に作りました、地元で愛されています、という説明だけで終わっているケースです。もちろん、それらは大切です。けれど、それだけでは生活者が選ぶ理由にはなりにくい。多くの商品が同じように「おいしい」「こだわり」「丁寧」と言っているからです。

商品説明で大切なのは、良さを並べることではありません。生活者にとっての意味に置き換えることです。

▼商品名の付け方は、商品名は最初の接客を参照してください。

生活者は「自分に関係あるか」で読む

商品説明を読む人は、作り手の想いを知りたいだけではありません。自分に合っているか、贈る相手に合っているか、失敗しないか、価格に納得できるか。そういうことを確認しています。

たとえば同じ焼き菓子でも、甘さは控えめなのか、年配の方にも贈りやすいのか、お酒に合うのか、職場で配りやすいのか、日持ちはするのか、個包装なのか。こうした情報があるだけで、選びやすさは変わります。作り手が伝えたいことと、生活者が知りたいことは、必ずしも同じではありません。商品説明では、この間を翻訳する必要があります。

▼商品説明の具体的な書き方は、「おいしい」だけでは商品説明にならないで解説しています。

課題3|購入までの導線が整理されていない

3つ目の課題は、導線です。ECでは、商品ページだけを整えればよいわけではありません。検索してきた人が、どのページに入り、何を見て、どの順番で商品を理解し、購入へ進むのか。この流れが大切です。

地域産品のECでよくあるのは、検索した人をいきなり商品ページへ送ってしまうケースです。すでに商品を知っている人なら、それでも買うかもしれません。けれど、初めて見る人にとっては、いきなり商品ページを見せられても、選ぶ理由が分からないことがあります。

そこで必要になるのが、特集ページやカテゴリページの設計です。たとえば、母の日に贈りたい地域スイーツ、お酒好きに贈る地域のおつまみ、職場で配りやすい個包装ギフト、帰省の手土産に選びたい地域産品。こうした切り口で商品を束ねると、生活者は選びやすくなります。商品単体で売るのではなく、選ぶ理由をつくる。これがEC導線の役割です。

▼売場で一瞬で伝わる商品の条件は、商品棚で一瞬で伝わる商品と、伝わらない商品の違いで解説しています。

EC改善は、商品を変えることだけではない

ECで売れないとき、すぐに商品そのものを変えようとすることがあります。新商品を作る、味を変える、パッケージを変える、価格を下げる。もちろん、必要な場合もあります。けれど、その前に見るべきことがあります。写真で価値が伝わっているか。商品説明で選ぶ理由が伝わっているか。購入までの導線が整理されているか。

この3つを見直すだけで、同じ商品でも選ばれ方が変わることがあります。特に地域産品の場合、商品そのものに価値があるにもかかわらず、その価値がEC上で十分に翻訳されていないことが多い。だからこそ、まずは伝え方を整えることが大切です。

売れない理由を、ひとつずつ分解する

ECで売れない理由は、ひとつではありません。写真なのか、商品説明なのか、価格なのか、導線なのか、市場選びなのか。それを分けずに考えると、改善策も曖昧になります。

地域ギフト研究所では、商品開発やEC改善を「売れるは設計できる」という考え方で整理しています。ECで売れないときも、感覚だけで判断するのではなく、どの市場で戦っているか、誰に向けた商品か、価値は伝わっているか、事業として成立しているか、を分けて見ていきます。今回の3つの課題は、その中でも特に「伝え方」に関わる部分です。

おわりに

ECで地域産品が売れない理由は、商品の品質だけではありません。写真で価値が伝わっていない。商品説明が生活者の知りたいことに答えていない。購入までの導線が整理されていない。この3つが重なると、良い商品であっても選ばれにくくなります。

まずは商品を変える前に、伝わり方を見直す。地域の価値を、生活者が選びやすい形に翻訳する。それが、地域産品のEC改善で最初に考えたいことです。

関連ページ

この記事は「売れるは設計できる」の第3ステップ、伝え方に関連しています。

この記事を書いた人

大手百貨店で商品開発・売場編集・新規事業に携わる実務者。デジタルマーケティング・Webマーケティング・AI活用・商品写真を個人として専門的に学び、地域産品を「全国で選ばれる商品」へ翻訳する独自メソッド「売れるは設計できる」を体系化。和歌山県推奨品制度 副審査委員長、国際唎酒師、食の6次産業化プロデューサー。

コメント

コメントする

目次