地域には、いい商品がたくさんあります。
素材にこだわっているもの。
製法に手間をかけているもの。
地域の歴史や風土があるもの。
作り手の想いが込められているもの。
けれど、どれだけ良い商品でも、最初から中身まで丁寧に見てもらえるとは限りません。
店頭でも、ECでも、SNSでも、生活者はたくさんの商品に触れています。
その中で、まず目に入るものがあります。
商品名です。
商品名は、単なる名前ではありません。
商品を見つけてもらう入口であり、手に取ってもらうきっかけであり、商品ページを開いてもらうための最初の接客です。
この記事では、地域産品が「いい商品」で終わらず、選ばれる商品になるために、商品名をどう考えるべきかを整理します。
商品名は、最初に出会う言葉
生活者は、商品をじっくり見てから判断しているようで、実はそうではありません。
ECの商品一覧。
検索結果のタイトル。
SNSの投稿。
店頭のPOP。
ギフトサイトの商品カード。
そこでは、多くの商品が横並びで見られます。
そのとき生活者は、まず商品名を見て、瞬間的に判断します。
これは何の商品なのか。
自分に関係がありそうか。
誰かに贈れそうか。
少し詳しく見てみたいか。
この最初の判断を越えられないと、どれだけ良い商品でも中身まで見てもらえません。
商品名は、商品の説明文よりも先に働きます。
写真よりも先に目に入ることもあります。
パッケージよりも先に検索結果で見られることもあります。
だから、商品名は最初の接客なのです。
地域産品の商品名は、作り手目線になりやすい
地域産品の商品名には、作り手の想いや地域への誇りが込められていることが多くあります。
地名。
素材名。
製法。
屋号。
歴史。
地域で親しまれてきた呼び名。
どれも大切な情報です。
ただし、そのままでは生活者に伝わりにくいこともあります。
地域の人には意味が分かる名前でも、県外の人には何の商品か分からない。
作り手にとって思い入れのある言葉でも、初めて見る人には選ぶ理由が見えない。
由来は深いけれど、ECの商品一覧では一瞬で理解されない。
こうしたことは、地域産品でよく起こります。
もちろん、地域らしさを消す必要はありません。
大切なのは、地域の言葉を残しながらも、初めて出会う人が理解できる形に整えることです。
良い商品名に必要なのは、まず「何か分かる」こと
商品名で最初に大切なのは、かっこよさではありません。
まず、何の商品か分かることです。
これは当たり前のようで、意外と難しいことです。
たとえば、地域名やブランド名だけの商品名は、知っている人には伝わります。
けれど、初めて見る人には、それが焼き菓子なのか、調味料なのか、惣菜なのか、飲み物なのか分からないことがあります。
ECでは、分からない商品は飛ばされます。
店頭でも、ひと目で理解できない商品は、手に取る前に通り過ぎられてしまうことがあります。
商品名は、生活者にとっての入口です。
まずは、
何の商品なのか。
どんな特徴があるのか。
どんな場面で選べるのか。
このいずれかが、自然に伝わることが大切です。
覚えられる名前は、紹介されやすい
商品名には、もう一つ大切な役割があります。
覚えてもらうことです。
覚えやすい商品名は、人に紹介されやすくなります。
「あの丸いチーズケーキ」
「あの花とセットのギフト」
「あの瓶に入ったプリン」
「あの名前がかわいいお菓子」
生活者は、正確な商品説明を覚えているわけではありません。
印象に残った言葉や形で覚えています。
だから、商品名は短く、言いやすく、記憶に残る方が強い。
特にギフトでは、贈る人が誰かに説明しやすいことも大切です。
「これ、〇〇っていう名前でね」
「この名前がかわいくて選んだ」
「意味が素敵だったから贈りたくなった」
そんな会話が生まれる名前は、商品にとって大きな力になります。
商品名は、選ぶ理由をつくる
商品名は、ただ識別するためのラベルではありません。
選ぶ理由をつくることもできます。
たとえば、同じ焼き菓子でも、
素材を伝える名前。
形を伝える名前。
贈るシーンを伝える名前。
気持ちを伝える名前。
どこに焦点を当てるかで、生活者の受け取り方は変わります。
母の日に贈りやすい名前。
お礼に使いやすい名前。
自分へのご褒美に選びやすい名前。
法人ギフトとして失礼がない名前。
商品そのものは同じでも、名前によって選ばれる場面は変わります。
地域産品の場合、特に大切なのは、地域の価値を生活者の用途に重ねることです。
「地域の名産です」だけではなく、
「この場面で贈りたい」と思える言葉にする。
商品名は、そのための最初の翻訳です。
地域名は、主役にも背景にもなる
地域産品の商品名では、地域名をどう扱うかが大切です。
地域名は強い価値になります。
その土地の印象。
風土。
素材。
文化。
旅の記憶。
こうした背景を伝える力があります。
一方で、地域名だけでは伝わらないこともあります。
その地域を知らない人にとっては、地名だけでは商品の魅力が想像しにくいからです。
だから、地域名は必ずしも商品名の主役でなくてもいい。
地域名を前面に出す場合もあれば、商品説明やストーリーの中で背景として効かせる場合もあります。
大切なのは、生活者が選ぶ理由につながっているかどうかです。
地域らしさを押し出すことと、地域の価値を伝えることは、同じではありません。
地域らしさを、選ばれる理由に変える。
その視点が、商品名にも必要です。
ECでは、商品名が検索にも影響する
ECでは、商品名は接客であると同時に、検索の入口でもあります。
生活者は、商品名やタイトルを見てクリックするかを判断します。
また、検索エンジンやサイト内検索にとっても、商品名は重要な情報になります。
たとえば、食品ギフトを探している人は、次のような言葉で検索します。
お菓子 ギフト。
プリン ギフト。
おつまみ ギフト。
母の日 スイーツ。
内祝い 食品。
手土産 おしゃれ。
もし商品名やページタイトルに、生活者が探している言葉がまったく含まれていなければ、見つけてもらいにくくなります。
もちろん、検索キーワードを詰め込めばよいわけではありません。
大切なのは、商品らしさと検索される言葉のバランスです。
ブランドとしての名前。
何の商品か分かる言葉。
ギフトとして選ばれる用途。
検索されやすいキーワード。
この4つをどう組み合わせるか。
ECで売る商品名は、見た目の印象だけでなく、検索される設計としても考える必要があります。
商品名を考えるときの問い
商品名を考えるとき、最初から正解を出そうとすると難しくなります。
まずは、いくつかの問いに分けて考えると整理しやすくなります。
この商品は、ひとことで言うと何か。
誰に贈られる商品なのか。
どんなシーンで選ばれるのか。
商品のいちばん覚えやすい特徴は何か。
地域らしさは、名前で伝えるべきか、背景で伝えるべきか。
検索されるとしたら、どんな言葉で探されるのか。
人に紹介するとき、どんな言い方をされたいか。
こうした問いに答えていくと、商品名に入れるべき要素と、説明文や写真で補うべき要素が見えてきます。
商品名ですべてを伝えようとしなくてもいい。
ただし、商品名が入口として機能しているかは、とても大切です。
まとめ|商品名は、最初の接客
地域産品には、すでに多くの価値があります。
素材。
製法。
土地の背景。
作り手の想い。
地域ならではの物語。
けれど、その価値が伝わる前に、生活者は商品名を見ています。
商品名で立ち止まるか。
商品名で興味を持つか。
商品名で誰かに贈る場面を想像できるか。
その小さな入口が、商品の見られ方を大きく変えます。
商品名は、最初の接客です。
地域の言葉を大切にしながら、生活者に伝わる言葉へ整える。
作り手の想いを、選ぶ人の理由に変える。
地域らしさを、覚えやすく、贈りやすい形に翻訳する。
地域のいい商品を、選ばれる商品へ。
その第一歩は、名前の見直しから始まるのかもしれません。
あわせて読みたい
お土産とギフトの違い|地域産品が全国で選ばれるために必要なこと
地域産品をギフトとして選ばれる商品にしていくには、まず「お土産」と「ギフト」の違いを整理することが大切です。